前回の美容師なのに地獄のような合宿へ行った話の続き
案内された体育館の中に入ると100席ほどの椅子が綺麗に並べられていました。
「えー 各々自由に座るように」
前回の話しで、現れるや否や「スイッチオン」と叫んだスイッチオン氏が椅子に座るように促し、
自由に座っていいとの事なので僕は最後列に腰掛けることに。
「えー私の名前は渡辺和人(仮名)だ。この合宿の最高責任者として今日から2日間、皆さんと共に過ごすことになるので宜しく。
でだ、さっきのスイッチオンの説明をする。
皆さんは美容関係の仕事に付き日頃どういう想いで働いているんだ?
【自分】として働いているのか?
それではダメだ!
美容関係と言ったがここには9割方が美容師として働いているやつばかりだ。
美容師たるもの【自分】として働くのではなく、
そう、
役者になったつもりで働かなくちゃいけない!
お前らは役者だ!
そして、仕事場である店はステージなのだ!
店に入る前に普段の自分と役者としての自分に切り替えるためにこう唱えるんだ。
スイッチオン!」

・・・(こいつヤベエー!!)
やはりというべきか、分かっていたというべきか、
とにかく・・・とんでもねーとこに来ちまった!
点呼確認で人生初のハプニング
渡辺 「えーでは今から、一人一人名前を点呼してく。
呼ばれた者は大きな声でスイッチオンと返事をするように」
・・・は?
・・・え? 「はい」とかじゃなくて「スイッチオン?」
・・・え? まじ?
恥ずかしくね?
渡辺 「はいじゃあまず1人め~、、、青木〇〇」
「・・・スイッチオン!」
(まじか!)
渡辺 「声が小さい! もう一度、青木〇〇!!」
「スイッチオン!」
このやりとりを5回ほど繰り返した青木君。
そしてようやく、
「よろしい。はい、次〇〇!」
(・・・ちょいちょいまじでか!)
こんな辱め(はずかしめ)の仕打ち岐阜まで来てなんで受けなくちゃならないんだよ!
青木君もそこそこのボリュームなのに5回もスイッチオンとか言わされて・・・って、
は!
俺、最後列に座ってんじゃねーか!
やべえ。
やべえぞこれは。
渡辺との距離が遠すぎる!
というか最後列もだけど、そもそも人より声量低いし、声もこもる方だし、つーか、
・・・恥ずかしがり屋さんなんですけどおー!!
「スイッチオン」という謎の大絶叫が響き渡る体育館
ーーそうこうしている内に皆この危機的状況を察知したのか、羞恥心を捨てさり馬鹿でかい声で「スイッチオン!」し始めました。
むしろ洗脳され始めていた。
「伊藤!」
「スイッチオン!!」
「上田!」
「スイッチオン!!」
「江口!」
「スイッチオン!!」
「やり直し! 江口!」
「スイッチオン!!」
「やり直し! 江口!」
「スティッチオン!!!」
え?

?
え?

・・・え? スティッチ?
聞き間違いじゃなければ江口は「スイッチオン」を「スティッチオン」と叫んだ。
声を張りすぎたのだろう。
しかしそんなことはどうでもいい。
そろそろ僕の名前が呼ばれるはずなのだから。
そしてついに、その時がきた
渡辺 「はい、次・・・工藤ごんざえもん!」
(来た! この際なりふり構ってられない。こんなの1発で合格してやる!)
スーハーー
短い深呼吸をし緊張している自分を落ち着かせる。
大きな声を出すには先ず腹式呼吸でお腹に空気を入れる。
(スーーーーー)
そしてお腹に力を入れ、
(ググッ!)
後はスイッチオンと叫ぶだけ。
スイッチオンと、
・・・叫ぶだけ。
スイッチオン
・・・スティッチオン?
ぶっほっ!w
「スイッチブホwーーン!!」
!!!
・・・やっちまった!! 昔から緊張すると何故か笑えてくる症状が今になって出やがった!
完全に江口のせいだ!
渡辺 「・・・おいゴラァ! ふざけてんなら出てけ!!!」
(え、やり直しとかじゃなく出てけ? まじ? つーかそんな怒る?)
ーー渡辺の凄まじい怒号が体育館に鳴り響き、一瞬静寂が訪れた・・・
と思ったら、渡辺の取り巻きみたいな奴ら2人が現れ僕の両腕を鷲掴みにし、外へと連行していった。
その姿はまるで万引き犯がGメンに捕まる姿だった。
いや、
Gメンに捕まってるうんこ、そのものだった。

江口いいいえやあああ!
長いので、
明日へ続きます。
続きです↓