[ぶぉおん! ぶぉおん! ぶおおおおー!キキキキー! シャアアアアア! ]
なんやねん!
ドリフター工藤です。
冒頭の素晴らしい効果音の表現からお解り頂けかと思われますが、
今回は車でドリフトをしたお話です
ーー男なら誰もが1度は憧れるスポーツカー。
スポーツカーといえばドリフト
ドリフトといえばイニシャルD
ーーそこにイニシャルDを熟読する1人の青年がいた。
歳は18
名は藤原拓海
嘘、工藤ごんざえもん

免許取り立てホヤホヤな僕はイニシャルDという漫画の影響でドリフトに憧れた。
これが後にとんでもないことになるとは・・・
ドリフトって何? って人のために
ドリフトというのは、
主にスポーツカーのようなミッション車で、サイドやブレーキ・クラッチを駆使して車を滑らしカーブすることです。
現実ではサーキットなどで練習やレースをするのですが、
漫画イニシャルDでは峠道でそれをしちゃってるんです。
(実際にやっちゃダメですよ。)
でもそれがまたカッコよくてカッコよくて。
当時はお金を貯めて、本気でスポーツカーを買おうと思っていました。
でも18歳の僕には車を買って維持するのが金銭面的に厳しいと悟ったので、
当時、母親に借りていた軽自動車【MAX】でドリフトしようと考えました
MAXっていうのはこんな車ね。
よくある軽自動車で、しかもピンク。
(こんなただの軽自動車でピンクでドリフトとかイカレテル! やめとけ!)
そうなんです。
こんな車じゃドリフトできないんですよ。
先ず大前提にドリフトって後輪駆動の車がするものなのです。
(後輪駆動っていうのは後ろのタイヤが回るって走る車のことね。)
シルビアやRX -7というMT車(ミッション)で、まんまスポーツカーです!
みたいな車が後輪駆動です。
多分合ってるはず・・・間違ってたらごめん。
(こんな感じの車↓)
シルビアS14後期
RX -7 FD3S
ちなみに、RX -7はコナンに出てくる安室透がの愛車らしいですよ!
にしてもやっぱ2台ともカッコいいわー
そして、
今回ドリフトに挑んだ、我が母の軽自動車ダサMAX!のポテンシャルは
1.前輪駆動
2.ただの軽自動車
3.AT(オートマ)
4.フルノーマル
5.CD・MDコンポ付き!(ちなみに音質くそ!)
6.カーナビなし!
7.車内前方には象の人形が2.3匹!
こんな感じで、ドリフトとは無縁の車です。
もちろんイニシャルDで培った知識があったので、僕自身こんな車じゃドリフトできない事は知っていたんですよ。
(いや、そもそも一度もドリフトなんてした事ない奴ができるわけないけど。)
どうしようか?・・・
諦めるか・・・
いや、ダメだ!
あの峠の先に豆腐を待っているお客さんがいる!!
(*こんな台詞ないけどイニシャルD参照)
「とりあえずやってみよーっと」ということで、
季節は真冬。友達と車2台で地元の峠へとやってきた
(いや、だから公道でやっちゃダメだって!)
この日は軽く雪が降っていましたが、道路脇に若干積もってるくらいだったので大丈夫だろうと判断して車好きの友達を誘ったわけです。
ーー深夜、誰もいない真っ暗な峠に到着した2台の車
1台は僕が運転する車、MAX!
名前とは裏腹のただの軽自動車だが大丈夫。
名前的にはスポーツカーだ!
もう1台はグロリア!
ただの乗用車だが大丈夫。
スタッドレスは履いていない!
ちなみにMAXのタイヤも夏用。
つまり2台の車はバカが運転しているってことだ!
ーー峠の麓(ふもと)
2人のバカが車を並べ窓越しに会話をする。
僕「俺らバカじゃねーのww こんな日にこんな時間にしかもドリフトってww ・・・まあでも大丈夫っしょ!?」
友「おう!」
バカはバカなりにバカだと分かっているようだ。
「おう!」っと答えた友人も何をもっての「おう!」なのか?
やはり友人もバカのようだ。
「とりあえず上まで登ろうぜ!」
「おう!」
バカだ
2人のバカが運転する二台の車は峠の頂上を目指し走り出した
[ウォン! ウォン!・・・ウォィイイイーン!!]
先頭は僕。
MAXのダサいタービン音が夜の峠で木霊する。
[ウィーーーーーーン!]
けっこうな速さで走っているようだが実際は、
[ウィーーーン!!! ウーーーーーーーン・・・ウィーーーン!!!]
という感じでAT車に内臓されているギアが上がったり下がったりを繰り返し、音だけが悲鳴をあげているだけだった。
(ちっ、こんなスピードじゃドリフトもくそもねえ!)
そうは思ったが一応カーブに差し掛かると同時に軽くサイドを引いてみた。
・・・が、
やはり滑らない。
(やっぱりか。次のカーブでは思い切り引いてやろう。)
・・・
・・・
(キタここだああ!)
[ガンッ!!]
・・・
・・・
さっきより勢めにサイドブレーキをかけたみたもののやはり滑らず、ただスピードが緩まるだけだった。
二台はドリフトが出来ることなく峠の頂上にたどり着いた
「やっぱりこんな車じゃ無理だなあ」
「そうだな。ってかさ、お前の車遅すぎだろ! 」
「うん。まあねーMAXとかマジ名前だけだわww
・・・いや、でも待て! ダウンヒル(下り)ならもしかして出来るんじゃないのか!」
「お、おう!」
若干引き気味だった友人の「お、おう」はイニシャルDの影響で「ダウンヒル」とか普通の人が言わないセリフを普通に会話で使う僕が原因のようだ。
しかし、
下りでドリフトしようとするなんて危険極まりないのは確か。
ましてや素人。
事故も免れないかもしれない。というか事故なんてしたら奈落の底に落ちる可能性もある。
どちらにせよ滑るかどうかも分からないし、イニDで勉強しているから大丈夫なはず。
自身はあった。
自身しかなかった。
自身に満ち溢れていた。
バカでちた。
僕「じゃあまた俺が先に行くから!」
友「お、おう!」
1人の大バカと引き気味の友人が運転する二台の車は峠の麓を目指し走り出した
[ウィーーーーーーン!!!]
ーーMAXは先程とは比べものにならないくらい早く走る事ができた。
(タービン音もイケてる! これならいけるかもしれない! イケてるってなんだよ!)
スピードが出る事をいい事にぐんぐん加速していく。
カーブ続きな峠道。
ふとバックミラーを見ると友人の車のヘッドライトが見えなくなっていた。
それほどスピードがでてたのだろう。
若干怖かったがそれよりもドリフトがしてみたい。
その想いの方が強かった。
(やってやる!)
急なカーブに差し掛かったときハンドルを少し切りサイドを引いた!
[ガンッ!]
・・・
・・・
だが全くって言っていいほど滑らなかった。
やっぱり軽自動車じゃ無理なのか?
前輪駆動じゃダメなのか?
AT車じゃ滑らないのか?
そう諦めかけダウンヒル最後のカーブに差し掛かる直前、視界の端に写った物を見て良案が浮かんだ。
(・・・仕方ない、あれ、試してみるか、、、)
不安と楽しみが入り混じる何とも言えない感覚のせいか頭の中でイニシャルDの音楽が鳴り響いた。
www.youtube.com動画引用元:Arctica – YouTube(ゲーム動画)
ハー♪トゥーン♪トゥーン♪トゥーン♪OH!OH!トゥーン♪OH!OH!OH!OH!トゥトゥットゥルル―――――ナイット オブ ファイヤーーーーー!!!
気分はイニD!
顔は藤原拓海!
車はMAX!
視界の端には雪!
俺が、ドリフター藤、、、工藤だ!
全てが・・・揃った。
気がした。
[ウィーーン!]
絶対にドリフトしてみせると意気込み、
[ウィーーーン!!]
圧倒的タービン音で加速し始め、
[ウィーーーーン!!!]
カーブの直前にある雪にタイヤが乗った瞬間、
[ウィーーーーーン!!!]
これまでで一番強くサイドを、、、
「これが! 溝落としならぬ! 溝付近にある雪落としだあ!!」
(イニシャルD参照)
サイドを、、、
サイドを、、、
引い、、、[ガン!ツル!]

「おひゃあああひぃいひゃあかぎゃああがっはあああひゃあああ!!!」

視界が回る! 回る! 回る!
象の人形も回る回る回る!
車内パニック!
象もパニック! 僕もパニック!
象は床に!
僕は首が、

「あひゃびぎゃあにゃにゅーーーんいああああ!!!」
[ガクン!!]

・・・「はあはあはあはあはあはあはあはあ・・・こ、これが、
慣性の法則ってやつか!」
じゃなくて、
「し、死ぬかと思ったあああ!!!」

ーーなんとか助かったはいいが、
自分がどうなっているのか
車がどうなっているのか
今どういう状態なのか
何がなんだか分からなかったが、
数秒後フロントガラス越しに前を見ていると友人の車が普通に走ってきた。
僕から見たら反対車線を走ってきた友人が隣に車を止め窓越しに喋りかけてきた。
「お前もうUターンして待ってたの? 早くね? また登る?」
友人の発言から察するに、どうやら、
それはそれはクルっと綺麗な回転をし、とんでもないUターンをかましたらしい。
・・・
・・・
・・・
「いやもう帰ろう」
完!